TOP総合案内今月の伝道標語 > 伝道標語
伝道標語
正身端坐して左に側ち、右に傾き、前に躬まり、後に仰ぐことを得ざれ

真っすぐ坐ることは坐禅の際にまず気をつけることですが、「正身端坐つまり、姿勢正しく真っすぐ坐り、左右にかたよったり、前に伏せたり、後ろに反ったりしてはならない」と瑩山禅師は坐禅の指南書「坐禅用心記」において念入りにお示しです。

最近のご本山では、月のうち土曜日と日曜日を選んで坐禅会を開催しているせいか、一般の参禅者が以前よりも格段に多くなっています。時候の良い時は、衆寮と呼ばれる百二十名定員の坐禅堂にも溢れるくらい大勢の方方がお越しくださり、百間廊下にズラリと並んで禅堂へ赴かれるそのお姿は圧巻です。その多くが初心の方ですが、坐禅時に悪戦苦闘するのが、足を組むこと。もう一つは意外にも、真っすぐ坐ることです。

「真っすぐ坐ってください」と言っても、まず大半の方は猫背気味です。普段デスクワークなどで机に前のめりの姿勢が癖づいているからかもしれません。さらには椅子に腰かける生活スタイルによって正しい真っすぐがわからなくなっているのかもしれません。

畳に坐る生活が主だったころ、正座をすれば両足のかかとにお尻を乗せた結果、背骨は弓なりのラインとなり腰の据わった〝正しい真っすぐ〟が自ずと出来たことでしょう。 しかし、正座の習慣が失われた現代では、言葉で言われただけではなかなかご理解いただけないのが実情です。

ですので坐禅指導の際には、〝正しい真っすぐ〟で坐っていただくために、真っすぐの時背骨はどうなっているか腰はどうなっているか、事細かに解説しじっくり時間を要しています。

正しい姿勢が身につけば正しい呼吸が出来、正しい呼吸が身につけば気持ちもまた正しく調う。このことを「調身 調息 調心」と表現します。この好循環を長時間保ち続けるには、前後左右にぶれていないか、常に正しい真っすぐを心がけることが条件となります。

〝正しい真っすぐ〟を〝し続ける〟こと。これが坐禅の肝心なところです。そしてこのことは単に坐禅だけのことではありません。日常生活にも反映させていくのが、仏道修行です。

本山内で繰り返される年間行事や月ごとの行事そして毎日の行事を、読み方はいっしょですが、〝行持〟と表現しています。修行を持続する、の意味です。常に〝正しい真っすぐ〟を意識しながら、行いの一つ一つを丁寧に繰り返し、良い習慣をつける一方、〝正しい真っすぐ〟に照らして油断や怠りから派生する悪い習慣はたちまちに断ち切る、それが洗面であれ食事であれ作務(掃除)であれ、どんな些細な日常生活すべてでも〝正しい真っすぐ〟を意識し、繰り返し〝し続ける〟。これが本山の修行の有り方です。

八月に入り日差し強く高温注意報が多発している中、坐禅や諷経のお勤めをおこなうにおいて、姿勢崩れぬよう一呼吸一呼吸気を確かに持たざるを得ない状況が続いています。 都合よく考えれば厳暑の今はまさに〝し続ける〟行持の意味をより一層意識出来る季節、かもしれません。

皆さま方におかれましては、暑さはもちろんですが各々の諸問題・諸事情で前後左右にぶれることなく、日常生活において気を確かに持ち正しく真っすぐにお過ごしいただくこと、お祈りいたします。

暑さしばらく続きます、しっかり意識しご自愛くださいませ。(終)

平成27年8月(本山布教教化部出版室長  蔵重宏昭)

ページ先頭へ

ホームページ記載の記事・写真等の転載はご遠慮ください
Copyright(c) Sotoshu Daihonzan Sojiji Temple All Rights Reserved
No reproduction or republication without written permission.