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伝道標語
もろもろの衆生を救済せん。別願の一切は管せず。

【「布施」のみ教え】

お釈迦様のみ教えには、「布施」という教えがあります。「布施」とは「物でも心でもおしみなく分かち合う生き方」のことです。つまり「今、自分が相手の為に出来る事を精一杯する」という教えでもあります。そのお釈迦様のみ教えを正しく受け継いだ、大本山總持寺を開かれた瑩山禅師様は、『洞谷記』という書物の中で『もろもろの衆生を救済せん。別願の一切は管せず。』と示しました。「いま、私の願いはただ一つ、多くの方々の苦しみを少しでも取り除き、自分が相手の為に出来る事を精一杯する。ただこれだけである」と「常に相手の事を考え、相手の幸せを願い生きること」を示されました。

【数字の書かれた赤い帽子】

昨年の秋のお彼岸の事でした。朝早くお寺の本堂の玄関を開けると近所に住む七十五歳になるSさんという女性のお檀家さんが、お寺の門の横にある「六地蔵さん」の前で何かをされていました。 よく見ますと『これから、寒くなるからねぇ』と言いながらお地蔵さんの「赤い帽子」と「赤い前掛け」を取り換えていました。私は「毎年ありがとうございます」と言って、その帽子をそれぞれ手に取りよく見ると…。

帽子には、小さく123456と番号が書かれていたのです。

私が「この数字、なんですか」と声をかけると、Sさんは『お地蔵さんは、それぞれ頭の大きさが違うからね』と言ってその数字の書いた帽子を一つ一つ番号に合わせて、丁寧にかぶせておられました。

その時、私は本当に恥ずかしくなりました。お地蔵さんの一番近くにいる私です。
毎日見ているお地蔵さんの頭の大きさが同じ大きさとしか見ていなかった私の心に気づかされました。

Sさんは、「帽子と前掛けが新しくなると、お地蔵さんも、お参りに来る皆もうれしいでしょう。そうすれば、私もうれしいの」と言います。

お地蔵さんから「ありがとう」とは言われなくとも、喜んで布施する心は、確実に育まれます。そして、自分だけではなく周りの方々にも幸せは広まっていくのです。

Sさんは、一年間、赤い布を少しずつ集め、自分の時間を使って、お地蔵さんの為に、前掛けを作る。これも、自分の時間と体を使った「身施(しんせ)」という布施の姿です。

相手の立場になって、こころから、何か自分で出来る事を「見返りを求めず」に行う。 相手の幸せが、自然と自分の幸せにもなる。見返りを求めない布施とは相手も自分も幸せになる行いなのです。

【「布施」の菩薩行を相承する】

瑩山禅師様の「多くの方々の苦しみを少しでも取り除き、今、自分が相手の為に出来る事を精一杯する。」というみ教えは時と場所を超え今に伝わります。

その教えに触れた私たちもまた、「ほんの少しでいい、相手の苦しみを考えられる」私たちでありたいのです。

「目の前にいるあなたの為に、ほんの少しでもいい。いま自分が精一杯出来ること」を共に実践してまいりましょう。

平成27年11月(北海道増毛町 天総寺副住職 谷 龍嗣)

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