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伝道標語
身心徒に放捨すること勿れ。人人悉く道器なり。日日是好日なり

【行いも心のありようも仏道から離れたものにしたままではいけません。人にはそれぞれ仏になるべき種がそなわっています。そして毎日毎日がかけがえのない日なのですから】

昔、いかにも穏やかで明るい背景の前で、女優さんが飲み物を手にして「いい日だ…」と、言って素敵な笑顔を見せる、そんなコマーシャルがテレビで放映されていました。『日日是好日』という言葉からはそんなイメージがわいてきます。〈毎日が大安吉日である〉、〈本来楽しくない日などありはしない〉とも読めなくはない何かホッとするような、和やかな感じのある身近な言葉ですが、本来の意味は少しばかり違ったものなのです。

自然の景色に目を向けてみましょう。ご本山の桜は今、みずみずしい若葉が芽吹いております。新緑はやがて豊かに生い茂り、涼しい木陰を作ります。葉は秋になると色づき、北風がそれを吹き散らす頃には寒々しい冬枯れの姿を見せますが、そんな中でもやがて来る春に見事な花を咲かせる準備をしています。私たちの思いや望みなどおかまいなしにとどまる事なく移ろいゆくその姿こそが仏のおしえに他なりません。

良い日とか悪い日とか、損した、得したなどという自己の考えや過ぎ去った日のことや未来のことなど私たちがとらわれ、惑わされるような事は仏のおしえの前には全く意味をなさないのです。だからこそ、一切えり好みなど出来るわけもない、かけがえのない一日のつみ重ねをしっかり心しなければなりません。『日日是好日』とは穏やかな外見の中に凛烈たる志気を感じさせる厳しい言葉なのです。

その上で瑩山禅師さまは、人間にはおのずから仏になる素質がある、という事を『人人悉く道器なり』と言われました。その素質を植物の種に例えれば、それを芽吹かせて大切に育てる事こそ佛の道を歩む事と言えましょう。そのためには、暑さ寒さ、晴れや雨など様々な日がやってくる中で常になすべき事を丁寧に行わなければなりません。やがてたくさんの花が咲き実がなるでしょう。その実りを皆で分け合う、そんな日送りをしたいものです。『身心徒に放捨すること勿れ』……いつでも、どこでも自分自身の行いや心のありようが仏の道から離れたものにならないように心掛けてください。一日を振り返って素敵な笑顔で「いい日だった」と言えるように。

平成28年5月(千葉県總寧寺住職 照井文隆)

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