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伝道標語
心空浄智、邪正無し、箇裏知らず何をか縛脱す

「人は皆、幸せになるためにこの世に生まれてきた」この言葉は南米パラグアイの元大統領「ホセ・ムヒカ」氏の国際会議の挨拶冒頭の一節です。これは人間誰でもが望む納得出来る言葉です。しかし、現実の世界はどうでしょう?この地球上の約七〇億の人々が果たして皆幸せを共有できているだろうか?

多くの人々は幸せの感じ方に偏りがあり、物の豊かさ、エネルギーの豊かさを幸せと感じ「物、金、力(エネルギー)」を一生懸命追い求めております。その結果どうなったでしょうか?大地は砂漠化が進み、放射能汚染の土地は益々増え続け、南極にはオゾンホールの大きな穴があく、強い紫外線が除去されないまま地表に届き、高いエネルギー状態の見えざる光、放射線が人類を危険に曝し、命の揺り籠である緑が凄まじいスピードで減っております。

私達は暮らしやすさを求めて、ふんだんにエアコンを使って温度湿度をコントロールし、目映いばかりの人工の光の中で暮らしております。先進国と言われる国々の大都市は上空四〇〇キロの宇宙船ステーションから見てもとても輝いていると言われます。そういった都市部では天の川銀河は見えません。蛍の飛び交う小川や畦もありません。うるさい程の蛙や虫の音、小鳥のさえずりで目覚める幸せもありません。我々はいつから都市の暮らしやすさと引き替えに、情緒ある自然とのふれあいの場を手放してしまったのでしょうか?あふれかえるほどの物の豊かさに溺れては居ないでしょうか?

子供の頃、夜空を見上げ、星の瞬きに宇宙の大きさを感じ、その運行の正確さに何がこの動きを支配しているのだろうかと不思議を感じ、蛍のおしりが光るのを見ては不思議を感じたものです。その科学的なメカニズムは判らなくてもストンと腑に落ちた安らぎのある毎日でした。答えが無くても何となく心が満たされていた事を思い出します。人間の幸せとは必ずしも物の豊かさだけではないのではないかと時折思います。今一度、心の豊かさを尋ねてみては如何でしょう。

開祖瑩山禅師様は伝光録の中で「執れども手に満つることなく、探れども跡を得ることなし、即ち是れ諸仏の妙法なり」(〔形を変える水や様様に見える空のように〕取ろうとしても手に満ちることはなく、探ってみてもその跡を得ることはできない。すなわちこれが諸仏の妙法である。)とお示しになっておられます。

宇宙の運行も蛍の瞬きも、皆人間の力を遙かに超えた大いなる者の力としか言いようがありませんが、是こそ我々人間が自然に触れて安心できる根源的な力であり仏の妙用なのです。

自然に包まれて生きる。即ち仏の慈悲を一杯に浴びて生きている自分に気付く時、心は水に浸された海綿の如く幸福感で満たされてゆくのです。

平成28年9月(秋田県  源正寺げんしょうじ  村松功英むらまつこうえい

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