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伝道標語
仏々祖々、単伝し来たりて、正法断絶せず

「諸仏・諸祖師がひとすじに伝えてきたからこそ、正法は絶える耐えることなく今日に至っているのある。」と、本山開祖瑩山禅師様はお示しです。

お釈迦さまは、仏法を人々に伝えながら、弟子達と共に修行をなされました。その教えを受けた弟子達は、また次の仏道の師となり、そしてまたその弟子達へと仏法は正しく伝えられ、親しく平成の現在へと受け継がれてまいりました。仏教が現在まで受け継がれてきたのは、師と弟子があたかも一杯のコップの水を漏らさず他のコップへ移すがごとく、その教えは綿々と受け継ぎ伝えられたからなのです。しかしながら人を教え導き、それを伝え続けていくということはそう簡単なことではありません。導く側である師にも受け止める弟子にも大きな使命と責務を担うことでしょう。

師匠と弟子、現代で身近なことに置き換えるみると、職場の上司と部下、学校の教師と生徒、もっと身近な関係では親と子にも同じようなことが云えるのではないでしょうか。

親子の間で受け継がれるものにもいろいろとありますが、その中でお寺にとって一番身近な先祖供養のお話をしたいと思います。近年、葬儀の時やその後、どうやって供養してよいか分からないとよく相談を受けます。ご供養は、その家の年長者に任せてしまっていて、その方が亡くなって初めて仏事に触れる方が増えておられるように感じます。

私のお守りしているお寺は熊本にありますが、先日千葉県在住のお檀家さんがお詣りに来られました。ご主人は残念ながら体調を崩されてお越しになりませんでしたが、奥さまと息子さんご夫婦と二人のお孫さんがお見えになられました。息子さんご家族とは初対面だったのですが、とても感じの良い方々で私も貴重な時間を過ごさせて頂きました。普段仕事で多忙な息子さんご家族が、一緒に来られたのには訳がありました。それはご両親の熱い想いと願いです。息子さん達に、「是非とも父の育った故郷や環境を観てもらい、兄弟親戚など人との繋がり、そして御法事とはどんなことをどうやって営むのか見せておきたかった。また菩提寺やお墓の事も知っておいてもらいたかった」と言われました。

また秋のお彼岸会には、別の有り難い出会いがありました。あるお檀家さんの娘さんがお詣りしてくれました。まだ二十代前半です。「母が仕事で都合がつかないので、私が代わりに来ました」と話してくれました。このお宅には娘さんが三人おられるのですが、お母さんはお寺参りには小さな娘さんを連れて来られていました。最近は娘さんたちも大きくなりお母さん一人でお詣りされることが多くなっていましたが、今回は娘さんが一人です。「私お寺が好きなんです。気持ちが落ち着きます」と言われ嬉しくなりました。後日、お母さんにお会いする機会がありました。話題は娘さんのことになり、お母さんが嬉しそうに話してくれました。「今年はお盆の御霊膳を娘が作ってくれたんですよ。教えていないのに、ちゃんと見ているものなんですね」

わざわざ言葉にしなくても、わざわざ教えなくても伝わることがあります。「親の背を見て子は育つ」昔から聞きますが、親の姿勢を子供はきちんと見ているのです。

仏々祖々ぶつぶつそそ 単伝たんでん きたりて、 正法断絶しようぼうだんぜつせず』の担い手は実は他ならぬ私たちです。 私たちの身近な日常にも仏としての所作ふるまいは存在し、伝える方そして受け取る者、それぞれの想いと願いが正しく受け継がれていくものがあるのです。

平成28年11月(熊本県隣峰寺住職 葛籠貫 喜昭)

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